読書録

本の内容紹介をしながら、自分の意見を述べます

第七回 『サピエンス全史 上』 ユヴァル・ノア・ハラリ

この本は、我々、ヒト科ホモ属サピエンスの歴史が記された本です。

人間の生活の変化を論理的に説明しています。上巻ではホモ・サピエンスだけでなく、ホモ属の誕生から、帝国主義の出現という長い期間の様々なことが書いてあり、私は特にこの記事で述べたいのは、女性の社会的地位の歴史についてです。

歴史を鑑みると、多種多様な国やコミュニティにおける人間社会が存在しているなか、一貫して女性の地位が低いことが目立ちます。エリザベス1世エカチェリーナ2世などの例外は存在しますが、殆どの社会の重役を担う人は、男性でした。

なぜ女性はこんなにも無下に扱われていたのでしょうか?一般的に考えられる理由は2つあります。

1つ目は、筋力です。

男性は女性よりも筋力があるので無理やり服従させたという説があります。しかし、人間の社会的権力と体力は全く比例しません。20代の人の方が60代の人よりもずっと強壮なのに、大抵は、60代の人が、20代の人を支配しています。社会的権力は、社会的技能を持っている人が獲得します。女性は、子育ての役割があり、その分多くの人の助けを必要とします。よって人とのやりとりが男性より多くなり、社会的技能は女性の方が高くなる傾向があります。よって、男性と女性の地位の違いの理由が筋力であるとは信じ難いです

2つ目は、攻撃性です。

男性は女性よりも暴力的で、いざとなったら、男性の方が進んで粗暴な行為に及ぶ考えられます。だからこそ歴史を通して、戦争は男性の特権だったのです。しかし、戦争の指揮にとどまらず、様々なことの指揮、統率をする際に攻撃性や体力はあまり必要とされません。これらは、組織化や協力、妥協をする力が必要とされます。この能力は、上記の社会的技能の一つで女性が男性よりも達者です。よって、男性の攻撃性の高さが、社会的権力の独占の理由であるとも言えません。

ではどういう理由なのでしょうか?

実は、この本には原因不明と書いてあります。しかし、人間の奇妙な特性が作用していると仮説を立てることができます。人間は矛盾することを信じることができる性質があります。例えば、一神教であるキリスト教において、悪魔が信じられ、善悪という二元論が存在しています。全能である神がいるにも拘らず、神が定めた正しい行いに背く人を生み出してしまう悪魔が存在しているという矛盾が生じています。よって、論理的に考えれば、女性が優等であるにも拘らず、男性と女性の地位の倒錯が起こってしまったことも、納得できます。

しかし、過去1世紀の間に、この倒錯が大きく修正されました。この変革の鍵が、今までのでおかしなヒエラルヒーを作っていた根拠が関係あると考えられます。

『感想』

久しぶりにブログを書きました。読書自体は続けていたのですが、書く時間がなく、投稿が滞っていました。このサピエンス全史は上下巻があり、様々なことに言及していますが、特に女性と男性の地位の倒錯という大きな謎についての考察が私の中で一番興味が湧いたので抜粋しましたが、他にもいろいろなこと、例えばサピエンスの認知革命(存在しないものを認知することができるようになった)についてなどのページも面白いのでぜひ読んでみることをお勧めします。